エンジンの内部でオイルが可動部を潤滑している様子を直接見る方法がある。オイルフィラーキャップを開けたままエンジンを始動すると、オイルがカムを潤滑している様子を観察することができる。
（ＲＢ２６ＤＥＴＴの場合）
〜 下の写真は、エンジンが停止している状態 〜
エンジンを停止してから長い時間が経過した状態でカム面に指を触れると、オイルが付着しているのが確認できない。また、カムのトンガリ部周辺は、摩耗してテカテカしているのが分かる。
〜 下の写真は、エンジンがアイドリング中の状態 〜
オイルがカムに絡み付いている様子が分かる。エンジンの回転数を上げると、オイルが飛び散る。写真だと停止した状態で観察できるので、とても面白い。
オイルが完全にオイルパンに落ちている状態からエンジンを始動させ、カムにオイルが到達するまでの時間を計測してみた。クランキングの時間を含め、１３秒かかった。ドライスタートと言われる状態だ。この間、残留したオイルだけで潤滑するのは厳しいかも知れない。
ＲＢ系エンジンの油圧センサーは壊れやすいと聞く。油圧計の針が振れない時は、オイルフィラーキャップを開けてオイルの循環を観察すれば、オイルポンプの故障なのか油圧計の故障なのか、判断することができる。
カムの潤滑に関して意外と知られていない事実がある。カムはアイドリングの状態が一番摩耗しやすい。カムのプロフィールは、高回転の時にバルブが慣性力で描く軌跡を基準にして作られている。したがって、高回転の時はカムとバルブリフターの接触圧力は小さい。ところが、低回転の時は慣性力が弱いのでスプリングの荷重がカムとバルブリフターに直接かかる。特にトンガリ部はスプリングの最大荷重がかかる上に曲面がきついので、摩耗が激しくなる。
１９９９/０９/１３